
仮想通貨の取引においては、常にリスクが付きまといます。電子マネーと異なり、購入時の価値が保証されていないからです。
仮想通貨の価値には流動性があり、それが金融投資商品としての魅力のひとつでもあるのですが、価値が下がるということも十分に理解しておかなくてはいけません。
2014年に起こったMt.Gox事件
仮想通貨のリスクを世界中に知らしめたのは、2014年に起こったビットコインの取引所Mt.Gox(マウントゴックス)がサイバー攻撃を受け、その時取引されていたすべてのビットコインが消失したという事件でした。
当時Mt.Goxは世界で取引されていたビットコインの7割を取引していたとのことで一大ニュースになりました。
しかし、一部ではサイバー攻撃ではなく取引所のCEOによる横領ではないかとされ、CEOは逮捕されるに至りました。
未だに債権者に補償は行われておらず、交渉が続いています。
カウンターパーティリスクとは
Mt.Gox事件を受けて、一時は取引が衰退したかに思えた仮想通貨ですが、ここにきて盛り返してきました。しかし、喉元過ぎれば熱さを忘れるようでは、自分の大切な資産を守ることは出来ません。
仮想通貨を購入する前にMt.Gox事件のことを詳しく知っておいた方が良いでしょう。
また、カウンターパーティリスクについての理解も必要になります。
カウンターパーティリスクとは、例えば仮想通貨を売買する際に取引を仲介している取引所がある日突然、取引を停止してしまった場合に、損失が生じるリスクのことを言います。Mt.Gox事件はまさにこれに該当します。
電子マネーではない流動性のある通貨
電子マネーは法定通貨で購入した価値がそのまま維持され、変動することはありません。
しかし、仮想通貨は取引次第でその価値は日々刻々と変動しています。購入した時よりも上昇すれば儲かることになりますが、下降すれば、損失を被ることになります。その点では、株式の現物取引や金の取引などと似ている点があります。
一般的に金融商品というものは、価値が上昇する時は緩やかですが、一旦市場関係者がリスクを感じて売り圧力が高まると、一気に下落するという性質を持っています。仮想通貨の流動性にも同じことが言えます。
法律の整備が追い付いていない
仮想通貨は非常に新しい金融商品です。そのため、世界を見ても仮想通貨の取引に係る法律が完璧に整備されている国はほとんどないと言えます。
日本も同様で、これまでの法律に仮想通貨の取引が該当するかどうかは、何か仮想通貨に係る金融トラブルや事件が発生しない限り整備されていかない可能性が高いでしょう。
法律を整備する立場の人間も仮想通貨がどのような性質のものなのか、まだその実態をつかめていないのかもしれません。
つまり、仮想通貨の取引において万が一のことが起こった場合、債権者を守ってくれる法律が存在しないかもしれないのです。仮想通貨を取引する際は、その点を十分頭に入れておきましょう。